「骸秋だね…」
「そうですね秋ですね…」

くふふあははの(乾いた)笑いラリー。何と言ってもアレだ骸。今は食欲の秋だからといって犬がうっかり千種と一緒にガム箱買いの上によっちゃんイカ段ボールごと買いやがった。なんだこれ、なにこれ黒曜ヘルシーランド、よっちゃんイカフィーバー?よっちゃんイカ祭り?? いやだわぁうふふと私は笑う。その横で骸もそうですねくふふとわらう。その目線の先で犬と千種が楽しそうによっちゃんイカを頬張っていて。何だコイツ等。千種に至ってはほっぺたまっかっかで何か可愛い。え、モフモフしてる千種こんなキャラだったっけそれとも私が色眼鏡!?私が多少(?)パニクっているのを察してくれたように骸が頭を撫で撫で「落ち着きなさい」といってくれた。なでなで。頭をなでなで。ついでに腰もなでなで胸もなでな……ってちょぉぉおおおおっとおおおおおいいいい!!!!!!「死ね、エロス死ね!」と暴言と裏拳で骸の綺麗な顔を潰して(別に赤くもならなかった、こいつどういう皮膚してやがる)犬が買ってきたフルーツガムを一箱貰おうとよっちゃんイカ祭り会場の犬と千種の方を向いてびっくり、骸の回復の早さと立ち直りの速さよりも吃驚。(ていうか元々落ち込んでないコイツ。)
気が付いたら千種と犬が段ボール一個分のよっちゃんイカを完食したようで何ともまぁ満足そうな顔!満足そうな顔!!(何か腹立たしい)口の周りに着色料をたっぷり付けた犬が尻尾振り振り骸と私の所に駆けてきた。(尻尾は幻じゃない気がする)(けれどそしてとても可愛い)

「今日の晩ご飯はなんれすか!」

………泣いて良いか。いや冗談じゃなくてホントに泣いても良いか。よっちゃんイカは幾ら駄菓子でぺらぺらだと言っても段ボール一箱分はある。その上良い感じで砂糖も使われていれば塩分もあって、血糖値はかなり上がっているはずなのに。それなのにそれなのに彼はまだご飯は何ですか、早く食べたいですいいたそうに尻尾を振り振り、目はキラキラ。可愛いけれど勘弁してくれ。(そして千種は骸お気に入りのソファで小さく丸まって寝ていた。なんて可愛いんだ!)骸は犬の頭を撫で撫で、あやすように「くふふ、今日の晩ご飯はきのこパスタですよ犬。」なんて言っていた。今日は珍しく骸がご飯を作ってくれるのか、やったね楽だ!!「もちろんの手作りです。美味しいですよ」(一抹の希望は泡となって消えた!)

「たまには作ってよ骸ー、主婦だって家事に疲れるんだよー?」
「おやまぁそれじゃあ君は僕の奥さんですか、クフフいいですねぇいいですねぇ。」

新妻プレイですか、裸エプロンが定番ですよね。なんて口走りそうになった骸の口をよっちゃんイカの段ボールで塞いでしぶしぶ近くのスーパーまで材料を買いに行くことにした。あぁ、めんどくさいなぁ(今日は鶏肉で唐揚げ!一品料理!仕込みだけしてあとは全部千種にして貰おうと思ったのに、今月の雑誌まだ読んでないのになぁ)黒曜ニコニコスーパーマーケットとかかれたちょっと錆びた看板の近くの駐車場で屯っている黒曜生。いやぁこの異様な風景の何処がニコニコなんだろう。ニコニコマーケットって名前自体駄目だよね、ね。と苦笑しながら(有る程度自分に余裕がもてるのは自分も黒曜生でなおかつ骸のそばにいたからだろうか、アーメン。) 乾物のスパゲッティーと生クリームその他諸々、あとメインになるであろうキノコ類(しめじと舞茸とあとエリンギ。安かったよ)ビニール袋の持ち手がぷにぷにしている忌まわしい手にに食い込むけれどそんなの今更気にならない。しゃりしゃりとビニールがすれる音がしながら帰路を一歩一歩。カゴメカゴメ歌ったり椎名林檎口ずさんだりした。(案外楽しいけど端から見ると危ないよね)

「ただいま」とまぁ陽気にいって台所(簡易式)に行く。がさがさと食材を袋から取りだしていると犬と骸が駆け寄ってきた。この様子だと千種はまだ寝てるのね、ちーくんまだねてるのね。とおもったりおもわなかったり。手早く作ってしまおうと適当に鍋やら何やら取りだしていると犬がしめじを見て「骸様〜、《不適切な発言により削除されました》ってキノコに似てますれす!」とにこにこ顔で、うん黙れ。「違いますよ犬。《不適切な発言により削除されました》がキノコに似ているんじゃなくてキノコが《不適切な発言により削除されました》に似ているんですよ。よく考えてご覧なさい」お前も黙れ。何放送コードに引っかかるような発言ばっかりしてるんだよ!!ほほぉそうれすか!なるほどなるほど。と子どものように純粋に納得してしまう犬を見てため息が一つ。そしておもむろにエリンギを見て「うっひゃー!これ俺の《不適切な発言により削除されました》よりでかいかもー!!」とはしゃぎ出す始末。

「クフフ、大丈夫です僕の《不適切な発言により削除されました》はエリンギよりも遥かにでかいですよ」
「骸様マグナム!はっしゃー!!」

なんて、なんて。包丁を握りしめたまま私はがっくりと項垂れる。この手の話題になれていないどころかもう慣れすぎていてもうこいつら、こいつら!!と毎回心の中で言ってしまう。いい加減飽きないのだろうか自分の《不適切な発言により削除されました》自慢なんて。(嗚呼ついに私もいってしまった。いやまだ発言はしてないからセーフかも)

ー、俺の《不適切な発言により削除されました》と骸様の《不適切な発言により削除されました》どっちが大きいかみてくれよぉー」
「僕のが大きいはずですからね、ほらさあ早く!」

今なら汗で掌が湿っているから「すべった!」と一言言えば包丁を投げても許される気がする。むしろ、もうあれだ。これでも女の筈なんだがよくもまぁそんな股間の話なんて出来るな!!頭かち割って中身見てやろうか!!(ちょうど包丁もありますしね、今なら出来る、有言実行!!)きのこっのーこーのこげんきのこー!とエリンギをパックから取りだして私の前に出してくれた犬。おお気が利くじゃないか、今までのことは八割近く棚に上げて置くけれど。

「さぁ!まずはこのエリンギの大きさを覚えるのです!」

まだ諦めてなかったのか貴様等!「俺の《不適切な発言により削除されました》よりでかいんれすよぉ!」けらけらと笑う犬の股間を思いっきり蹴ってやろうかと思った。もう止めてくれ、食事を作る奴の前でそんなことを言うな。「でもですね、ぼくの《不適切な発言により削除されました》《不適切な発言により削除されました》《不適切な発言により削除されました》されるともっと凄く変貌するんですよ、クフ。クフフフ」何ともまぁ楽しそうに、クスクスと(いやクフクフと?)わらう骸の前で(堪忍袋の緒という物が切れてくれたので)包丁を振り上げざっくりエリンギをまっぷたつにした。それを見ていた犬と骸が「ぎゃぁぁぁぁあああああ!!」なんてまぁ股間を押さえながらわめいてのたうち回った。うんいい気味だ。そしてそのままエリンギはスープパスタの具材になりました。美味しく完食してくれたのは千種だけで残りの二人は真っ青な顔でエリンギだけ残してくれました。みたかお前等!の力を舐めるな!



(20071013 相互記念。いや記念でそんな放送コードとか言っちゃ駄目だよね。一蓮托生の若蛇様へ!)