それはあるカラリと晴れた小春日和に起きた出来事でした。私と綱吉と武と隼人が仲良く教室のすみっこ(と、いうか窓側の私の席。そしてその隣の席はお約束のように何故か綱吉だ。武と獄寺は教室の真ん中に近いやや後ろ辺りの席で此処からは遠い。暖かい私と綱吉の席が一番妥当だとかでいつも此処に集まる。正直私が動きたくないのもあるけど)に集まっていつものようになかよく座談会(という名の自動販売機で買ったお茶と購買で買ってきたお菓子をまじえたお茶会、)をしていたとき。昨日のテレビみたー?とかあのアーティストやっぱりパクリ容疑でたよねー?とかあぁこの新発売のお菓子美味しくない誰が買ってきたんだよ、とか(わたしだようるせーな)もう好き勝手ぺらぺら。なんだか女子のギラリとした視線がいっつも痛いけどそれは気にしないほうこうでー!(なんでコイツ等はこんなに女の子に人気があるんだよ!そりゃ見た目はイイよ、絶対格好いいと思うよ)どうせ気にしたら負けなんだし仲がいいことはとても良いことだよ貴様等になんか分かるか嫉妬マシン!なんて、(声を大にして発言した日が私の命日だ、とすこし思ったりした。)カリカリとポッキーを銜えてグラウンドを見る。一生懸命にサッカーをして遊んでいる男子の集団を目の端に捉えた。汗を掻いて砂埃を浴びている。日向は暖かいけれどそとはまだ、冷たい風が時折吹く。今の時期生暖かい風が沢山吹くと次の日が雨になるからヤダ。雨なんかだいっきらい、その理由は色々あるけれど(学校に来るのが面倒くさくなりそうでいやだ)ぼーっと外を見る。げんきなひとたちだ。ふと口にあったはずの感触が無くなる。あれポッキー落としちゃったのかなとか思ったけれど私の食べかけのイチゴポッキーはやまもとたけしくんという男の子に取られていた後なのでした。ちょ、まておまえかえせ!!最後の一本なんだぞそれどれだけわたしがイチゴ好きか分かってないだろ!!(期間限定、にはよわいんだからなわたし!!)


「やだー俺だってイチゴ好きだし。」
「だからって人のもん取るな馬鹿!!かえせそして詫びろ!」
「無理無理たった今からこのポッキーは俺の〜」


と、いいながら武は私の食べかけのイチゴポッキーをポリポリと頬張る。あぁ、私の最後の一本……。可哀想なイチゴポッキー(いやイチゴポッキーも正直私より武に食べられる方が幸せかも知れない、何せ彼は絶世の美少年!とまでは行かないけれどとても容姿が整った背の高い格好いい男の子なのだから。)(そして何故かこちらを睨む女子の方々の視線がいっそうちくちくと刺さる痛い物になった、きがした)それでもポッキーを取られて何かしろ悔しい私は頬杖を付いてプンプンとふくれてみる(子どものようだ)それをみて綱吉はクスクスと笑っているし隼人は知らんぷりで煙草を呑もうとライターを取りだしていた(やめろここはがっこうでわたしはたばこがだいきらいだ!!)そして武はというとイチゴポッキーを中途半端に銜えたままこちらをじっと見ている、なんだよもう一本もないんだからな!ほしいなら綱吉に買ってもらえ!!(それでもこっちをずっとみるから)なんだか武が病気にでもかかったみたいにこちらをじっと見ているから。不思議になって「たけしだいじょうぶ?」っていおうと思った、だけ。だから口の形をたけしのたのじに開こうとした瞬間大きくて綺麗な手が私の方へ伸びてきた、なんだろう、とおもって口を半開きにしたことも忘れてただただぼーっと武の腕を見ていた。それが凄くゆっくりに見えた(事実1秒も掛からない距離なのに、)そして、手は私の胸に伸びた。……大きな手が私の、こう女の子らしく盛り上がってしまう(しかもそれは脂肪という、ある意味女の子としては天敵に近いような物で出来ている)場所に、軽く置かれた。……、は?


「ひ…ぇ、ぁ」
「ちょ、山本!何してるのぉお!!」
「ばっ、野球馬鹿何にしてんだよ!(俺だってまだしたこと無いのに!※打ち消し線使いなさい)」
「うーん……、」


綱吉は自分がされてるわけでもないのに顔を真っ赤にさせてるし、隼人は心底吃驚したような声で、あと何か言おうとしてるみたいな口のかたちしてて、肝心の武はうにうにってかんじで私の胸の上で手のひらを動かしている、ちょ、まて揉むな!…吃驚しすぎて変な声しか出ないし(いやそんなものなのか?)そんなあたしもお構いなしなかんじで少し上をみて考えるように唸る。え、なにあんたしてくれてるんですかわたしまだよめいりまえなんですからね!!(あたりまえだ!いくつだとおもっている!!)(ついでに言うと彼氏もまだ出来てねぇんだぜ☆なにこの寂しい青春は!どうせもてないよわたしなんかよぉお!!)心の隅で涙を流しながら武を見たらニコッて笑って(お日様みたいだコノヤロー!!)


「なんだ胸でかくなったんじゃねぇのか?」
「は?」


つかまてまてまてまて!!なんでお前がそんなこと分かる!お前に揉まれた覚えはないぞ!(いや今揉まれたばっかりだけども)今日までに一度だって男に胸は揉ませたこと無いんだからな!まだまだピーチちゃんなんだぞ!(それはおしりじゃないのかねくん)と、とにかくういういしいんだからな!きゃーこいつにはじめてわたしちゃったよどうやっていきていけばいいのおかあさん!!(初めてって全部あげた訳じゃないよなんかこの言い方は誤解を生みそうだ!!)綱吉がぷしゅーって空気が抜けるみたいに机に伏せた!かか、顔が真っ赤だよ綱吉!つか机に伏せたいのは私だ伏せたいのに武の手がまだ胸にあるからそれすら出来ねぇじゃないか!力ずくで退けようとしてもびくともしねぇこの野郎!野球馬鹿、野球のしすぎでしんでしまえお前なんか!(死んだらきっとファンの子はがっかりだ!)……ファンの子?そうださっきからの痛い視線を思い出した。と思うと背筋にぞっと冷や汗を掻いて途端に目が泳ぎ出す。よくよく見たら睨んでたこの中に泣き崩れることか真っ青に顔を染めてしまわれたことか、怒りの形相でこっちを見ていることか(でもこれは不可抗力以前に私は何も悪くないんだと主張したい!!)(つかそろそろてをどけてくれやまもとたけしくん!)わたしのおもいがつうじたのかたけしは満足したように手を離した、いやいや満足げに笑われてもこっちが困る、んだよわかるかい武君!


「なんだよ思春期か〜?」
「当たり前だろいくつだと思ってんだよまだまだ子どもとか思ってんじゃねぇのか貴様!」
「そうだと考えてたんだけどねー。体だけ大人になってんじゃない?」
「だだっ、黙れ!!」


なんだこいつ!もう私は中学の二年生だぞ、真ん中だ真ん中!くぅ……ば、馬鹿にされてしまった!そりゃあアンタよりも運動は出来ないけど学力はそこそこあるんだからな!(それでも学年で真ん中だって言うから何とも言えない、悔しい。)隼人は思春期とかそんな言葉に(何故か)敏感なようで顔を真っ赤にしている。(お前何を連想した大人しく私に申して見ろ。)綱吉は、うんもう机に伏せたまま顔を真っ赤にしながら虚ろな目をしている、うわぁ保健室連れていった方が良いんじゃないのこのこには刺激が強いのかも知れない!(でもたかが思春期だけで何故男はこんなにも脆くなれるのだろうか。あるいみ最強だと私は考えた!)そんなこんなで昼休みは終わって五限の授業に入る。五限は数学で気の弱い先生だからどうも、こう眠くなる(それが食後で、なおかつ窓際なら最高だ。暖かな春の日差しを受けて私はすやすやと眠りにつく。)…、とおもったけれど何かに起こされた。誰かから紙が投げつけられた。ぐしゃぐしゃに丸められたザラ紙(これは先週配られた数学の課題プリントじゃあないか!)をガサガサと開く。ふぁ、と欠伸をしながら文面を見る、お世辞にも丁寧とは言えないギャル文字で(私読めないのよねこれ。直感で行くしかない、なんだこの理解不能な文字配列!いやしかしこれは記号といった方が正しい!!)『放課後屋上に来て下さい』てかんじかな。……、屋上放課後!すごいなに告白みたいじゃんもてもてだね私!(哀れむことしかできない)あぁそうか呼び出しかー…、今まで大人しく受けてたけど今日くらいは逃げたくなったなんだか面倒くさいんですもの、外はこんなに暖かな光で溢れて居るんだから。(でも行かないと次の日からがもっとバイオレンスになりそうだったので行くことにしよう)そういえば今日日直だったなー…、今更ながらに思い出した日直の仕事を先生も吃驚するくらいの丁寧さで仕上げてから屋上に行こうと決めた。(だって、いいじゃないたまには盛大に遅れたって!日直だもの!)そうして私は見事に五限六限と居眠りをして放課後に綱吉を巻き添えにしつつ日直の仕事を終わらせたのでした。あぁもう四時半だ。夕会が終わって一時間以上経っている。これじゃあ呼び出しした人も帰ってくれているかなと、あわーい期待を胸に秘めつつ綱吉にお礼を言ってから屋上に向かうことにした。足取りは勿論軽い訳じゃあない、でもまぁ綱吉に悟られないようになるべくにこやかに別れを告げる(これが人生最後の別れになりませんように。切実な願いだ!)トントントン、ピータイルの上をリズムよく歩きながら屋上を目指す。あぁ憂鬱、憂鬱憂鬱憂鬱!!それでも足はちゃんと屋上に向かっていて時間だって刻々と過ぎていく、無情だ!!!

ギィィ、と錆び付いた屋上の扉を開ける。おおここは武が飛び降りようとした屋上じゃないか!(此処の学校には屋上は一つしかないから必然的にそうなるんだよ、と下らなく思う。)すると真っ赤な夕焼けを(いやまだまだ青色が残っている空だ)バックに女子生徒が何人も立っている、ちょっと待て先輩もいるじゃないですかおとなげないなぁもう。(一歳しか離れてないのにね、権力的に下の立場に立たないといけなくなる私。こまった!)ソロソロと屋上の砂がちりばめられているタイルを踏んで錆び付いて五月蝿いドアを閉める。(ギィギィってホラー映画みたいで正直怖い。その音もさることながら先輩とか同級生の女の子の顔もまた怖い!)仕方なく胸張ってギロッと睨み付けてみる、……うん無理やっぱり怖い。なんて小心者なんだ私は!情けなくて少し涙が出た。


「ちょっとアンタ、今何時だと思ってるの!?」
「はぃ?確か四時半だったと思いますよ先輩。」
「アタシ等がどれだけ待ってたと思ってんの!!」
「さぁ、放課後といってもアバウトすぎです…」


私日直でしたて言おうとしたけどそれは無理で、いきなり平手が飛んできた。うわぁぶっちゃけ痛い!せめて歯を食いしばる時間くらいくれたってイイじゃないか!(それは私がヘラヘラとしていたからかも知れない)左頬にパシィッて。大きな音よくそんな人を殴れますね(正確に言うと叩いてる、だけれども。)じんじんとした痛みが少しずつ広がっていって顔を少しゆがめる。口の中は切れてないみたいだ、これは奇跡だ。あんなに大きな音がしたのに。うん、わたし今日は運がいい日なんだきっと!(そう思わないとこれからのたかが30分位が苦痛に思える、から)(つか運がいい日なら呼び出しなんか受けないよ。あーぁ。)ため息がふぅっ…てでたら先輩の癪に触ったらしくまた平手が飛んできた。今度は右頬だ、両方ともそのうち痛くなる。


「いつも生意気なのよ!武に近寄らないで!」
「なに無理矢理武君に食べかけのお菓子とか食べさせてるの!汚れるわ!」
「獄寺君にも近寄らないでよ!!」


感極まって泣き出すことか、そのまま私の胸ぐら掴んでくる先輩とか。はぁ、無理矢理食べさせたどころか私が取られたんですけど。最後の一本のイチゴポッキー。そういったらまた右頬ぶたれた、痛い。胸ぐら掴んでいた先輩の目が憎悪に溢れる。汚い色だ、私はそんな色をしていない自信があるから見下した目で笑ってやった(それくらいは許されるでしょ。やられたままの可愛い子羊なんかじゃないの。そんな台本は一瞬で灰にしてやろう、私は私の役を演じきる。)(近寄るどころか勝手にあいつ等こっちに来るんだけど、それは幼なじみとか仲良しとか友達とか親友とかそんな部類に私たちが入るからだと思う。あなた達では一生届かないところに私はいるのよ、ほくそ笑むことだって出来る)(それじゃあ私が悪者みたいじゃないか! 私 は 被害者 だ !!)


「武君に無理矢理からだ触らせたりとかして、この淫乱女!」
「は?あれは武がむりや…」
「お前がたけしとか言うな汚らわしい!!」


ぁ、平手じゃなくなった。さすがに握り拳は痛いんですよ私仮にも女の子ですよあなた達と同じ女の子なんですわかりますか?(問うことは出来ない、何故かお腹まで殴られた。鳩尾は駄目だよ、胃液しかでないよ消化早いんだから。)うっ、て吐き気が襲った。でも吐かない(気持ち悪いじゃないか。)それでも私は泣かない。泣く理由がない。こんな奴らに負けを認めるようにしくしくと可愛く泣きたくない(もとより可愛く泣くことは無理だ。私はそんな柄じゃないそれこそきもちわるい!!)先輩達の耳には今日の昼のことがどう伝わったのだろうか、私が無理矢理からだ触らせるとか、なんだそれあれはどう考えても武が自分から手を伸ばしたんだろう!(私のシャツがこう、胸元まで開いていてブラジャーまで見えましたよ。とか、スカートが膝上50センチのパンツみせまくり女!とかそんないかにもして下さい見て下さいやって下さい女じゃないんだから、私は先輩達のように下品に制服をきくずしたりはしないよ。逆に男はそう言うのに萎えるんだよ知ってましたか?)(だからといって私は男を誘っているわけじゃない、断じて。)


「反省しなさいよ!もう武や隼人に近づかないって言いなさいよ!!」
「そうよ!綱吉君にも近づかないで!!」
「あの人達は優しいからアンタにイヤイヤ付き合ってんのよ!それくらいわかりなさい!」
「お前なんか死ねばいいんだ!」


飛んでくる罵声。声が大きい、五月蝿い。てかなにイヤイヤ付き合うって何、綱吉君に近づくなって何?武や隼人に近づかないって何?それは私の台詞だ。その間までダメツナとアンタはお似合いよ二人でドブ川にでも行きなさいとまでいってくれたのにね、ちょっと格好良くなったからって手のひら返したような言い方。なにそれなにそれなにそれなにそれ、いままでいったことはなしよもうわたしたちのあたまのなかにはないのきゃーつなよしくんきょうもかっこいいわぁ!、か。……もう堪忍袋の緒が切れた、切れたよ私にだってあるんだからね堪忍袋の緒くらい!泣いて詫びても許さない、から。うん、(弱気)

「先輩、謝って下さい」
「は?」
「私と、隼人と武と綱吉に、謝れ!!」
「なんでテメェなんかに謝らなきゃ何ねぇんだよ!!」


わ、先輩メイク溶けてますよ、ともとも不細工な顔がもっと不細工に見えます。真っ赤なルージュ(古いね、口紅?それともこれはあたらしいリップグロス?)も口の開閉の多さに着いていけなくなっていて所々剥げていて、頬のチークと分厚いファンデーションは汗で流れている。化け物みたいな不細工さだ。反吐が出る、吐き出すみたいに呟いてやったら両側にいた今まで暴言も何も言わなかった女の子に壁に押さえつけられる。(隣のクラスのリーダー的存在の人じゃないですか、細い手足の割には力が強いんですね、わぁ怖い)そしたらメイクが溶けてる先輩が胸ポケットからカッターを出してきた。わわっ、そんな物学校に持って来ちゃ駄目ですよ貴方先輩でしょ?!と、私たちの見本にもとうていなれそうにない溶けた化粧の先輩は無造作に私の髪をカッターでザクザクと切り始めた。なんだこれ、私のお世辞にも綺麗と言えない髪がボロボロと屋上の床に落ちていって、風に飛ばされていった。束で見つかったらいろんな意味で怖いよこれは!!恐怖でも怒りでも憎しみでもない目で先輩の方を見たらピクッと頬が引きつって「ゴメン手元が狂っちゃった」て頬を下から上に、スパって切られた。(音が聞こえるくらい凄かったよ鮮やかだった先輩何処でバイトしてんのー)痛い、先輩せめて切ってからその台詞は言いましょうよ、前後がバラバラすぎてなんだか苦笑を漏らすことしかできない。あらかた満足したのかその人達は笑いながら私をタイルに叩きつけて私が最初から居なかった物のように、何か汚い物を見るかのように(彼女たちからしたらきっと私は汚い虫なんだろうけれど)私を見下して屋上の扉のノブへ手を伸ばした。私はポケットから鏡を取りだして切られた髪を見る。これは…、下手すぎる(!!)下手すぎて下手すぎてもう何も考えてるのか自分でもわかんないけど、先輩達に聞こえるように、わざと。わざと大きな声で言ってのけた。最後の抵抗だ別にもう良いだろスルーしてくれ!!


「うわぁ何この手先の不器用な切り口は!!アハハ、こんなのじゃ家庭的な女の子が好きな武はお嫁に貰ってくれないだろうね!!……わー、頬も切れてる!隼人は暴力的だけど女の子は正反対な子がいいって言ってたなぁ!!つかそれ以前に屋上に呼び出しとか、平和主義者な綱吉は大嫌いなんだよなー!!」


ドアノブに手を掛けた先輩にだけ届くように、少し声が震えてたけど気にしないようにしなきゃ情けない。もうイジメ疲れてる先輩はそのままドアを開けて、階段を下りてゆっくり帰ればいい。そして帰り道に部活で勤しんでいる武を見て黄色い声援を送った後買い物でも何でもして帰れば良いんだ!そんな期待を見事に裏切って先輩はカッターナイフをちらつかせてこちらに来た。あぁもう貴方その格好はどう考えても不良だよ、幾ら見た目を綺麗に取り繕っても分かるものになってしまったね可哀想に。そして喉元に刃先を突きつけて一言「二度と武達に近づかないで」て、言おうとしてたのかな。「にどとた…」としか聞こえなかった私の耳がおかしくなったのか、それとも頭がイカれたのか。(はたまた気絶でもしてしまったのか私!情けないぞわたし!!)先輩のカッターを取り上げている武が見える。埃まみれで、汗まみれで、部活のユニフォームを着たまま。それでも何処か鋭い雰囲気を持っている武はちょっと怖い。いつものあどけない笑顔からは想像もできないような鋭い眼光が、怖かった(でも嬉しかった)


「先輩、何やってんすかこんな物騒なもんもって。」
「いや、これは…その…」
「それに血塗れのはどうやって説明してくれるんスか?」
「それは…それはその子が自分でやったのよ!私たちが、やったようにみせかける…ために…」
「へぇ、そうすか。」


ギロリと山本が先輩達を睨む。溶けかけのメイクの先輩の苦し紛れのあり得ない言い訳はどうやら彼を苛立たせるだけだったらしい、そりゃそうだよね、自分でやって下手したら目も切っちゃうんだもん危なすぎるよ。そこまでリスクを負って先輩を追いつめるようなどしないし(ていうかできない、くだんね)先輩考えてから切れば良かったのに逆上って怖い。「二度とコイツに近づくな!!」大声でそう武が叫んだら先輩達は目に涙をたっぷり溜めて(でも逆にマスカラが溶けて顔に変な黒い線が出来ただけで綺麗とか美しいとかそんな言葉は一つも出てこなかった、不細工だ)屋上から逃げるように出ていった。せめて謝ってくれれば良かったのに。(なんて言ってみた。私に向けて謝られても困るけどね。)ポイとカッターを投げ捨てた武がこっちに来た。あ、やだ今只でさえ不細工なのに髪もボサボサにされたし不揃いに切られたし頬なんかざっくり切られててとてもみせられるような物じゃないのに!(幾ら幼なじみって言ってもこれくらいの恥じらいは必要だよ!)そっと大きな埃まみれの手を切られてない方の頬に添えて、ごめんって謝られた。(貴方が謝るより先輩に謝って欲しかったよ!たけしがあやまるいみもわからないしね。)だってたけしやつなよしやはやとがこいつらに「最近キモくなったからしめてこい」っていったわけじゃないんだしね。うんそうだそうだ。そんな一人でうんうん納得してたら武が私を担ぎ上げた。あれ、地面が遠いよ。武?たけし!!せめてお姫様だっこ☆とかいう可愛らしい抱き方で地面にさよならしたかったよ!担ぎ上げることはないでしょ俵みたいに担がなくても良いでしょ!!私スカートが下品に短くはないけれど規定からは大いに外れている長さなんだから!もうバタバタとか抵抗する気力もないから武の意外と(本当に意外と)大きい肩で頬杖を付いてむくれてみる。それは武には一生見えない死角で行われるから効果なんて微塵もないけどね。グラウンドに出て監督とか部活のメンバーとかが居る方を向いたんだろう、わたしにはその反対側の校舎しか見えない。

「監督ー!今日先に帰りますごめんなさいーい!!」
「おーおー青春だねぇガンバレや!」
「しつれいしまーす!!」


武がペコって頭を下げたのか私は不本意に(いやこれは不可抗力だ)背中から地面に落ちそうになったうぉお怖い怖い怖い!!風が吹いて頬の傷を叩く、いて…正直半端無いくらい痛い…、手を見たらぬるぬるしてたし武のユニフォーム肩口血でべっとりだった。わ、なにこれ!!先輩達なんてことしてくれたんだ!!正門の方に武が歩いていったら後輩みたいな子が武のスポーツバッグを持ってきてくれていた。……あれ?私の通学用バッグまである、なんで?その後輩(目がくりくりしていて可愛い、うん初々しい!)は私を見るや否や大丈夫ですか!?と大声で心配してくれた。うんうんかわいいかわいい。私じゃなくて武が「手当とか俺がすっからだいじょーぶだよ!ほらほら練習もどれって」半ば追っ払うように(手をヒラヒラさせて)言って武は二人分の荷物を持ったままスタスタと歩き出した。なな、なんてちからもちなんだやまもとたけしくん!!感心しながらもう私は自分が武の肩に乗っていることなんかわすれて夕焼けに染まっている町を見ていた。(なんてロマンチック!!)











ドサッと武のベッドの上におろされる。最近めっきり入れなかった武の部屋。小さい頃から何にも変わって無くて此処だけ時間が止まったみたいだ(いや、でも野球選手のポスターが年々増えていっているのは止まってないことの証拠かも知れない。)武が棚から救急箱(ってかいてある箱)を取りだして私の頬の傷を消毒してくれる。薬品の臭いがつんと鼻を掠めてなにか病院に出もいるような気持ちになる。(きらいじゃないのよこのにおい。)そのまま傷薬用の塗り薬を塗られてガーゼを上からかぶせる。うわ、手際が良いのはよく分かってるケド、痛いの。しょうじきこころのそこからいたいの!!(直に指で塗らないでよ痛いんだからね武!!)左の頬をすっぽり包むようにガーゼが張られて私はぽかんと武を見ていた。屈託の無いような笑顔を向けて貰って凄く安心した。でも次に「あ、」ていう間も無いくらいの早さで武が私をだきしめてくれた。大きな腕の中に収まっている私はこれまでにないくらいにちっぽけな存在に見えた。ぎゅうぎゅうだきしめられて何がなんだか分からなくなった(抱き枕じゃないのよわたし)。おさななじみの、子どもみたいに無邪気な武は何処か記憶の彼方に飛んでいってしまって、私の目の前にいるのは、武だ。子どもじゃなくて、大人みたいな私の知らない武だ。吸い込まれる見たいな綺麗な目に見つめられてわたしは何も言えなくなる。そのまま抱き上げられて、いまからねますよーっていうみたいに枕に頭を乗せられて武が私の体に覆い被さった。大きくなったね、呟いたら武にお前は胸がでかくなったって言われた。ムードもへったくれもない!!でもいつもの子どもっぽい武だ、ニコッて笑って。


「ごめんな…」
「武が謝る事じゃない、よ?」
「でも、俺がもっとちゃんとしとけば…」
「何をちゃんとするの?ファンの子達に首輪でも付けるの?」
「バカ」


そのままちゅーって口づけされて、顔と頭がカァって熱くなる。(わ、たしのファーストキスが!!大切に取っておいた気はしないけどとりあえずする相手もいなかったファーストキッスが…!!)別に私は武と愛を囁く大人の関係でもないし、恋人同士でもない今まで只のクラスメイトで親友で悪友で、それでもって只の幼なじみだったはずなのに。偶然クラスも変わったことはない(時の運ってすばらしい)ような完璧な幼なじみだっただけなのに。もしかして最近の幼なじみは挨拶のようにキスをするのだろうか、それだったら私は時代に乗り遅れている。(けれど綱吉も幼なじみなのにキスをしてくれないしこんなベッドの上で今更挨拶もないだろう。と、いうことは)たけしは、なんで私にキスをしているのだろうか。制服のリボンをしゅるりと解いて(ホントにそんな音がした、すばらしい)シャツのボタンをプチプチと外されて(大きい癖に器用な手だな!)私の体が外気に触れる。ツッと大きいけれど細くて綺麗な武の指が私の鳩尾辺りを撫でる。ビリビリと電流が走った、これは痛みだ!(そう言えば殴られたね。)痛さに顔をゆがめていると武が救急箱から湿布を取りだした。(あぁなんだ変なことするとかしないとか以前に治療をしてくれていたのか。じゃあさっきのキスは何なのだろうきまぐれ?)ペタ…と湿布が貼られる。ぁ、とか変な声が出て内蔵に直接響くような冷たさが私の体を襲って震えた。寒い、寒さに震える子猫はこんな思いをしているのだろうか。(意識がへんなとこいきそうはやくしゃつのぼたんをとめてくださいたけしくん!!)そのまま武の手が、私の胸に覆い被さった(は?)


「やっぱりでっかくなったなー」
「ちょ、や…やめ…たけし!!」
「やわらけー、食べていい?」
「は?いいわけな…っぁ」


プチンていつの間にか背中に回された手で留め具も外されて締め付けるって言うか、圧迫っていうか、そんな物がなくなって楽になった。そのまま首の方にずらして武が、脂肪の塊をうにうにとあたりだした、ちょっとまて、私がいつ承諾したたけしくん!そんな冷静な頭とは裏腹に声だけがだらしなく口から出ていく。なんでだろう。ひゃあとかぁ、とかバカみたいな声しか出てこなくて凄く凄く恥ずかしい。何がしたいんだたけしくん!!満足げに私を見ていた武がスカートに手を掛けて捲り上げる。スパッツとかそんな履いてないからパンツとか丸見えで何してんだよこら−!!て叫びたくなった。でもできなかった(またちゅーされた…、)武の舌が私の口内に入ってきてくちゃくちゃ卑猥(!)な音がする。音に頭の中が支配されて意識が朦朧とする、あぁ、なんだろうこの気持ち。武の顔を通り越して小さい頃から変わっていない、武の部屋の天井をぼぉっと見つめていた。相変わらず馬鹿な声しか出ないし武の手はパンツ(別にフツーの、量販店の奴…切ない)を触って遊んでるし、し!や、やめてよね、乙女のパンツはそんなに安っぽくないんだから!!(お金払えばいいって言う問題じゃないよ!)ずるずる、てわたしの量販店パンツをぬ、脱がせたたけしくん(中学生・男子)はにこってわらって海里さん(中学生・女子)にセクハラを開始…開始するなばかぁぁああああ!!!!!ぬるぬるって感じに指が入ってきてちょ…やめ、きもちわる!!うぎゃん!!い、痛くない、初めては痛いってみんな言ってたのに別にいたくないよ!痛くないけど何この気持ち、え…ふわふわする、気持ち悪いけど。気持ち悪いけど!!おかしいな。朦朧(ふわふわ?)としていてなんだか眠ってしまう寸前のような意識をぬるぬると遊んでいた武の指が(一本の癖に)呼び戻した。


「ひぁっ!?やぁ、たけ…し!」
「なに?今のこと気持ちよかったのか?」
「そんっ、ちがぁっあ!!」


カリカリとそこばかりを刺激(というかひっかいている感じだ)してくる。腰がビクビクと跳ねて、今まで出たこともないような甲高い声が私の声帯から出て体がだらしなくベッドシーツに沈む。(あんな声が私にも出たのか、俄に信じがたい)武の指がまだ入ったままなのに痙攣したみたいに震える。余韻みたいなのかなぁ?変な気持ちになってまた私は遠く(天井はそんなに遠くないよ)を見つめていた。一本しか入ってなかった武の指がいつの間にか二本になって、なって…、痛い、痛いよたけしくん!!もう表現できないような痛さが、わき出てきて…、(生々しいけどなんか裂けそう…)痛くて無理矢理広げられてるみたいだ。(いや広げてるのかも知れない。)長い指が出たり入ったりしていて、変な声が出て、もう何をされてるのかよく分からない。でも分かるのは武の手つきはとても慣れているようで、しかも優しいことだった(あんまり分かりたくない。私初めてなのに)あ、あぁ…なんだろ、不自然にきもちいい…いやとかそんな気持ちは始めから無かったみたいに(正直本当にそんな気持ちが存在していたかすら不思議だ。)腰が自然に動いて、動物のようだ私。厭らしい、本能だけで動いてる獣だきっと。指がゆっくりと(しかもぬっとりと)抜けてかわり、と言えない暖かくて大きい何かが今まで指が入ってた場所にあてられた(っぽい)…………えーっと、(この辺りで私の思考は急にはっきりと、そしてある種の恐怖心に駆られる)はい?ちょ、まってたけしさん!!(そんなでかいのはいらない!!!!)せめて、せめて反論の言葉くらい今だけでもいわせてくださ…っぁあ、あ!


「大丈夫か?っ、きつくねぇ?」
「ひゃっぁ、いた、痛い…っ!!」
「ちょっとの辛抱だから、な?」


な?じゃなくて、ほんと、いたい!初めてでも別に痛くないじゃーん☆とか言ってごめんなさいこんなに痛かったんですね私世の中を少々なめてかかっていたようです!うわ、ぁ。たけしの、大きいな、うん。こんな物なのだろうか男の人のものって。ギリギリと少しずつ私の中に埋まっていっているのか、痛みが大きくなっていく。はんぱねぇ!!はんぱねぇよたけし!!も、もうすこしわたしをいたわってくれないかな!!せめて1ミクロンで良いから、いたわ、いたわって…え! そうおもって武の顔を見ると意外とこいつも焦っているみたいだった、なんだ余裕ぶっこいてたわけじゃないんだ、ね?(なんだか安心してしまった自分が悲しい。)全部入りきったのか、ふぅって一息ついてる武。顔が火照ってて、か、かわいい…!そのままちゅってキスして、笑ってくれる…わ、笑って…何で笑えるんだこの状況で!!分からない!私にはその思考が分からない!!またキスされて、抱き締めてくれる。私もつられて武の首に抱きつく。……ほそい。うらやましいなぁ…。「悠弥…」耳元で、苦しそうに囁く。…甘い武の声。小さい頃はあんなに高くて可愛かったのに、なんて(しみじみしちゃうお年頃)ねぇたけし…、なんてロマンティックにお話でもしようとかそんな余裕まで生まれてきて(何処から湧いてきたんだその思考は)「…海里、抱き締めて…」…また甘い声、言われるがままなすがまま、わたしは言葉通りぎゅっと武の首の辺りにしがみつく(抱き締めてるつもりだよ)「離すなよ…」なんで?とか言う暇もなく、こう、武が、武が発進した!(黙れ)わ、あ、ぁあ…あ!!うご、動かれた…!いきなり(いや一応前振りはあった)動かれてホントにバカみたいな声が出て恥ずかしい(て言う感情もなんだかどこかに飛んでいってしまったようだ。)


「やんっ、たけ…しっ!だめ、だめぇえ!!」
「くっ、駄目とか、嘘吐くなよ…な?」
「ひぁあ!!…だっ、て、ぇ」
「ホント、かわいーのな、。」


歯切れの悪い、でもなんだか凄く武らしい台詞が聞こえて、そのまま私は意識を手放した。(指で引っかかれたあの場所を何回も掠られちゃあもう無理だよフツーに、ぐれちゃうぞ、ぐれちゃうぞ)そのまま武の欲望(というなの白濁の液。保健の教科書に載ってたよ白濁って。見たことないけどね)が私の中にそのまま出されて、武も私の体の上に倒れてきた。(あかちゃんできたらどうするんだよ、ばか。)









ガバッて体を起こすと腰に猛烈な鈍い痛みがしてそのままベッドに倒れ込む。天井はやっぱり武の部屋の物で、壁にはってある野球選手のポスターも武の部屋の物で、何故か私が着ている黒いシャツも武の物なのです(つかこれ野球のアンダーじゃないですか!!そして無駄に大きいだろうそのシャツ意外は何も着ていないのです。なんてことだ!)ほぼ放心状態で居ると武がペットボトル片手に入ってきた。「お、起きたのか」…起きたのか、じゃないだろもっということあるだろばかばかばかばか!!私の占領していたベッドに座って武が微笑みながら頭を撫でてくれる。わ、可愛いえがおだ。


「腰は大丈夫?」
「ピンポイントで指摘しないで下さいせめて体は大丈夫とか言って欲しかったです。」
「ハハッ、おかしいなヤツだなは」
「笑うな!」


あぁもう妙にバカみたいじゃないか私!正直腰がジリジリと痛んで困る。痛いんだよ、初めてってどうせ分かってる癖に…もうすこし優しく扱ってくれたってイイじゃないか!あぁこの幼なじみは私の調子を狂わせることしかしてくれない!(それはきっと今日唐突にコイツが私の胸を触ったときからだと思う!ぜったい)ぶすーって頬を膨らませて武とは反対の方を向く、壁だ。壁が見える。少し上を見たら窓のサッシが見えて外の光(っていってもこれは街灯の明かりだ)が差し込んできていて眩しい。暗くなってお母さん心配しているだろうなとか、そんなことしか浮かばない単純な頭。「家なら連絡したぜー?おばさん嬉しそうな声で承諾してくれたしな」はぁ、何を?遅く帰ること?それとも…


「泊まって行けよ。朝帰りってヤツ。」
「は?」
「それにお嬢さんを僕に下さいっていったら可愛くない娘だけどよろしくねって言ってくれたぜ?」
「へ?」
「だからあんしんしてねとけ、疲れただろ?」
「ちょっとまって、」
「なんだもう一回して欲しいのか?貪欲だなぁは」
「黙れスケベ!僕に下さいって…武何か…順番が」
「ぁ、そうかそうか。」


武の大きくて綺麗で細くてすべすべして完璧な手が私の頬を包んで(ガーゼも押さえれるほど大きかった)じっと私の目を見る。武の口が空気をふるわせる、超音波のようだ。





、あいしてる。」





また順序がバラバラだよ。私の幼なじみ、もとい大好きな彼氏はマニュアルとかが大嫌いな人のようです。




ュ ア ル ソ フ ト 











後日談。


「つーことで俺の彼女のな、みんなよろしく。」
「は?まて野球バカ!いまなんて…」
「山本!?抜け駆け禁止とか言ったの山本でしょ!!」
「えーいらねぇしらねぇ、な?」
「いや、ほら。な?とか言われても私何もできないじゃないですか」
「何堅苦しくなってんだよリラックスリラックス」
「ちょっ…胸揉まれながらリラックス出来る女はなかなか居ない!!やめっ、たけし!!」
「山本ぉぉおお!」
「十代目落ち着いてぇえ!」
「あ、そだそだ獄寺。これ、いじめてた女のリスト。出来ればしめてほしいな〜とか。」
「いじめ!?じゃあこの頬のガーゼとか首筋に所々散りばめられている赤い点はそいつ等がやったんだな!!」
「いや赤いのは俺の愛の印。」
「ちくしょぉぉおおおお!!」




それから先輩とか同年代の子の呼び出し嫌がらせ何にもなくなりました。あぁ平和になった良かった良かった。(武が意外とエロだったとかセクハラが日常茶飯事になってきてたりするのはやはり平和な証拠ではないのね。うん、これから私は武の嫌がらせもとい愛と戦いたいと思います!)いや多分負けるよ、大好きなんだから !馬鹿ップルでも何でも好きなように呼びやがれお前等!!



(なんだこれは!! 2007.04.04 そしてタイトル変え中身ちょっと書きたし2007.08.28)